10年前に出版した「着付け師という仕事」。この頃は「着付け師」という仕事の認知を広め、着付け師は職業として成り立つ仕事だということを伝えたく出版を試みました。仕事の内容ももちろんですが、着付け師という仕事は、とてもやりがいのある仕事であると同時に、仕事人としての考え方や在り方などを書きました。本当は、ハウツー本の方が良かったのかもしれませんが、私はまず、プロの仕事を知ってもらうことの気持ちが強かったです。出版後は、おかげ様で反応は長期にわたり読まれる書籍となり、本当にうれしく思いっています。私の夢だった認知度アップという点では、中学生の「職業一覧」の教材にも掲載される「着付け師」という認知が叶ったことは、とてもうれしかったです。全国から問い合わせや講習会の参加も増え、直接悩みや困っていることなどをお聞きする機会が増えたことは出版前に私がまさに思っていたことが、みなさんにお伝え出来たかと思うと出版したことに安堵していました。
そして、10年後、昨年11月に出版した「花嫁着付け師という仕事」。「着付け師という仕事」を読んでいただいた皆様の次のスキルアップとして役立つバイブルになればと思い書きました。「花嫁着付け師」着付け師であればだれもが憧れる着付け師です。一般着付けとは違う「花嫁着付けを極める」という観点から技術や心構え、今後勉強してほしい内容などを書き込みました。挑戦的なスタイリングも盛り込んだり、技術を本で言葉で伝えるのは難しくギリギリまで悩んで仕上げました。こうして2冊並んで表紙を見ていると、いろんな思いが頭を駆け巡ります。10年前は東日本大震災の年の翌年の出版。今回は新型コロナウィルスの猛威の真っ最中の出版でした。仕事は激減しましたがまたいつでも復帰できることを強く感じた技術職であることに気が付き、ずっと着付け師を続けてきて良かったと改めて思いました。
私の本を読んでいただき少しでも「着付け師という仕事」を目指す方の役に立てれば心から嬉しく思います。着付け業界を変えたい思いの一心で走り続けてきた30年近く。これからも「杉山幸恵」流の着付けを発信していきたいと思います。よろしくお願いします。